「能」に注目しています

なぜ能なのか? 
一言で言えば、どうしてこんなわからないものが素晴らしいといわれるのか?という興味。
何かありそうなんですよ。日本芸能の秘密? 
演芸だけでなく、小説、アニメ、ビデオゲームなんかにも役に立つんじゃないかと。


「歌舞伎」は最近見に行きました。おもしろくて比較的わかりやすくて美しくて隙がなくて粋でいなせで、と褒めるとこばっかり(オチだけがしっくりこない?)。
狂言はもっとわかりやすくて親しみやすい。子どもが学芸会で挑戦してもいいってくらい。


それに比べて、能はまず何を言っているのかわからないNHK教育の中継では字幕が出ますが、それを読んですらわからない。能がわかるって人はあれリアルタイムで聴解しているんでしょうか?
ちなみに観るのもけっこう高いですよ。10,000円くらいは軽くしてしまう。


どうやったら理解できるのか?そういう方法でも別にあるのか?などと考えたこともあります。
ある方は、能は水晶球のようなものでどんな見方をしてもよい、とおっしゃいます。また、寝ながら観てもよいのだと。幽玄世界の表現だから、レム睡眠状態の方が頭に入るんだという方もいます。


そこで私、先日、瀬戸内寂聴さん原作の能「kuchinawa」の小説版を読みました。ストーリーがあらかじめわかっていれば、能もわかるんじゃないかな、と思ったのです。
ひょっとして、と思っていましたが、やっぱりエロい。(エロス。ポルのじゃありませんよ)。寂聴さんが得意とする愛欲をテーマとしたもので、能でなくとも小説単品作品として十分おもしろかったです。源氏物語などに興味がある学生さんにはおすすめできるかもしれません。


で、あらためて能版を見ると・・・、うう、読解力とかなりの想像力がいるなぁ。(^^; 小説版の後日談であり、舞台も”現場”ではないからです。まあ、でも少しはわかりました。なんというか、うずまく想像の世界の「幻視化」なのですね。エヴァ能舞台ってのもあったらしいじゃないですか。原作が骨太なほど、能舞台も底深いものになるはずだと思います。・・・ってな部分がなんとなく見えてきました。


思うに、私側もがんばるので、そちらももうちょっと庶民に近づいてくれって感じでしょうか。先日の歌舞伎舞台では、区切り区切りで、あらすじを現代語で紹介するコーナーがありました。しかもユニークに。しかも違和感もなく! 工夫されていましたねえ。おかげで3時間もの舞台も最後まで楽しくみれました。そもそも優れた内容だけに、いかに観客を引き込むかって部分が問題だと思うんですけれど。