パックマン展はマニアだけのものではない

パックマンを開発した岩谷徹氏によると、
パックマンは女性やカップルに向けたやさしいゲームがコンセプトだったという。
汚い、暗いというイメージがこびりついていたゲームセンターを
遊びの場として成長させられるようにしたい。
食べるイメージは、女性のそれを源泉とするのはご存知の通りで、
だからこそコンソールも迷わないようレバー1本にしたのだと言う。

はたしてパックマンロケテストから女の子がキャーキャー声を上げ、
デビュー後は高得点を目指すマニアはもちろん、
子供、カップル、女性同士と、幅広いプレイヤーを集めた。
日本以上にヒットしたアメリカでは、TVアニメーションになり
誰が言ったか、80年代のミッキーマウスと、最大級の賛辞まで受けた。


同じ空の下、その頃私は小学生。
会社帰りのサラリーマンが2人、筐体の前でダンスを踊っていた場面は
未だ忘れようにも忘れられない衝撃なシーンだった。
(コーヒーブレイクではっちゃけていたわけ)


だから、私は今回の企画をプロデューサーにうかがった時に
必ずゲームマニア意外にも響くイベントにしてほしいとお願いした。
パックマンの素晴らしさは、ビデオゲームの楽しさを一般人まで届かせた部分にこそあるのだから、と。

そしてその後、打ち出されたコンセプトを聞いて喜んだ。
ゲーム×カルチャー
である。
納得!
パックマンは、こうでなくちゃ。


開催前夜である現在、
ネット上におけるパックマン展の話題は、
文字通り世界中から集結したレア筐体に注がれている。
岩谷氏を含めた関係者トークショーも話題だ。
イベントに来場する層の中心はゲームファンが中心だからそれは当然だろう。


だけど、私は思う。
パックマンを知らない友人や彼女、子供や親戚と連れ立ったとき
彼らの心に残るのは、ゲームブースの方ではなく、
案外、アートブースの作品の方ではないかと。
有名アーチスト達がいかにパックマンに心揺さぶられたかがうかがえる数々の作品、
そして、山のようなグッズ、レコード、テレビアニメ・・・
スーパーマリオ以前にもこんなすごいゲームが日本にあったんだ!と
目を皿のようにして見いってしまうんじゃないだろうか。
パックマン展の醍醐味は、そのような空気をゲームマニアと一般人が共感するところにあるんじゃないかと思うのだ。


そんな私は、今回、ワークショップでパックマン時計ステッチを編みこむことを
最大の楽しみに会場に向かう。
粋なイベントをやってくれるじゃないか。
いくつのどんな素敵な笑顔が待っていることだろう。

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